知っておくと役に立つ最近のリフォーム事情をよく知る連載コラム

Vol.7
暮らしが楽しくなる耐震リフォームとは

まずは、自分でできる耐震チェックから

 リフォームの目的としてあげられることの多い、建物の耐震性能向上。とくに、築30年を超える家は、1981年の改正で施行された新耐震基準を満たしていないため、不安に感じる住まい手もいることでしょう。

 築年数だけでなく、立地条件や増改築の有無も耐震性能の判断材料になります。気になる人は、まず、自分でできる簡単な耐震性の確認をしてみては。地方自治体によっては、耐震チェックリストの提供やアドバイザーの派遣を無料で行っているところもあります。また、ポラスのようなハウスメーカーのウェブサイトでも、手軽にチェックリストを入手できます。


建物の強さを数値で確認

 セルフチェックの結果に不安があれば、建物の強度を数値化して耐震性能を評価する耐震診断を受けましょう。図面とチェック項目から判断する簡易診断で、耐震補強の必要性が高いと判断された場合は、リフォーム会社や工務店などの診断士が住宅を詳細に調べる精密診断を行い、建物の耐震等級を評価します。耐震等級1未満から3まである評価のうち、一般的には、耐震等級1(建築基準法レベル)に満たない場合に、積極的な耐震補強が行われます。

 大事なことは、精密診断と耐震等級の評価を、実際に工事を請け負う業者が責任をもって行うこと。既存建物の評価が、その後の耐震補強計画の基盤となります。

 なお、各自治体では耐震診断のサポートのほか、工事の助成金制度を設けているところもあるので、住んでいる地域のサービスは必ず確認しましょう。


“バランス”がポイント。耐震補強の工事と計画

 家の強度がわかったからといって、すぐに工事にかかるわけではありません。耐震診断で明らかになった弱点について、どこにどの程度の補強を行うか、建物全体のバランスを見ながら計画を立てていきます。重要なのは、どこまで強度を上げるのかを見極めること。たとえば、耐震等級3を目指して補強個所を多くすれば、それだけコストもかかります。あるいは、偏った補強によりかえって全体のバランスを欠くことも。太い柱や梁、構造の壁をたくさん用いれば、必然的に採光や風通しは悪くなります。

 建物全体の強度を向上させて、採光や通風にも配慮するバランスのとれた耐震補強計画が提案できるかどうかは、リフォームを手がける業者の能力次第。そのため、依頼先選びはとても重要になってきます。


スマートな構造材で、明るく風通しのいい家を

 建物の強度を上げる単純な方法は、柱や梁、壁を太く厚くすること。しかしその分、室内は狭くなり、開放的な空間は望めなくなります。せっかくのリフォームも、室内の快適性を損なうようでは喜べません。たしかに、老朽化した家にとって、耐震性能の向上は重要。しかし、同じように居心地の良さも大切なはずです。

 そこで注目したいのが、リフォームを手がける施工会社の技術と提案力。たとえば、ポラスの耐震リフォームでは、コンパクトながら強度のある壁や、壁の上部に採光窓をつくれる鋼製の筋交いなど、オリジナルの耐力壁(構造を担う壁)を必要に応じて導入できます。ほかにも、ガラス窓のような表情をもつ樹脂製の耐力パネルなど、強度と開放感を両立させるデザイン性の高い構造材を提供しています。

 前述のポラスオリジナル耐力壁は、同社の「暮し科学研究所」で開発されたもの。これらの構造材を適材適所に用いれば、周囲を隣家に囲まれた狭小住宅でも、明るさや開放感を諦めることなく耐震性能を高めることができそうです。


「強さ」と「豊かさ」をもたらす耐震・フルリフォーム

 いま一度、リフォームの目的を考えてみましょう。きっかけは、老朽化した家の耐震補強だったかもしれません。しかし、その先には、「安心して快適に暮らせる家がほしい」という思いがあるのではないでしょうか。一方で、その願いは耐震補強だけでは実現できないのも事実。だからこそ、耐震リフォームは「欲張る」ほうがいいのです。

 構造の補強工事は、壁などの仕上げ材を撤去して行います。そのため、同時に内装や間取りを含めたフルリフォームを進めたほうが、手間もコストの面でも合理的です。老朽化の目立つキッチンや水まわりの住宅設備も刷新する場合は、壁や床材とトータルにコーディネートを。統一感のある住空間は、耐震補強のみに偏ったリフォームでは得られない満足感を与えてくれるはずです。

 暮らしが楽しくなる「豊かな住まい」を叶える耐震リフォーム。それは、強度と室内環境をともに高める耐震補強計画と、コスト配分も含めたバランスのよいリフォーム設計にかかっています。

(コラム執筆)住宅&インテリアマガジン『LiVES』ライター 畑野暁子


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